市場情報と雑学と 〜明日使える知識を〜

某大手電気メーカーに勤める社内SE。マーケティング的なことも業務の中に入ってきているなかで有望な市場分析を発信していきます。また、導入してきたなかで便利な小物があれば紹介していきたいと思います。

PayPayの収益モデルとPaytmという会社

10月1日より日本国内では消費税が10%に増税されました。

キャッシュレス決済の促進と銘打ち、ポイントバックを実施しています。

もうすでに使っている人もいるでしょうが、ソフトバンクが提供するPayPayについて今回は記事にしたいと思います。

 

PayPayのシステムのもとになったPaytm

Paytmは中国での携帯電話決済にヒントを得て2013年に設立されたインドの電子決済会社です。インドでは2016年に偽札防止のため高額紙幣が廃止され、高級品の購入にはキャッシュレス決済が不可欠となっています。

阿里巴巴が2017年に親会社のOne97より株式の25%を取得し(42百万ドル)575百万ドルの融資を行っています。

ソフトバンクも2017年に1400百万ドルを出資し、PayPayのシステムをPaytmをベースとして作成しました。

主な特徴は店舗側の導入費用が無料(レジにて読み取る形式、QRコードを読み取る形式)Felicaチップのような特殊な仕様が携帯側に不要であり、初期投資という点では群を抜いています。

また、盗難紛失にも強いといった特徴があります。

クレジットやFelicaの決済スピードと比較すると利便性は劣りますが普及スピードではQR方式に敵うものは現在のところありません。

 

Paytm・AliPayとの連携

楽天Pay・LinePayなどQR式のサービスは多数に渡っています。キャッシュレス決済に伴いマーケットが広がったことに起因しますが、プラットファーマーとしてはPayPayが群を抜いているとも言えます。それは上記のPaytmとの連携とAliPayの連携です。

中国の人口は現在約14億人となっています。設置型QR読取方式のPayPayカードにはアリペイに対応しているマークが記載されており、アリペイ⇔PayPayでの支払いをシームレスに行うことができます。

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店舗設置式QRコード、下にアリペイ対応の文字


訪日中国人のお客さんは平均数倍、日本人より使う金額が大きいと言われています。

日本人のみならず、外国人も送客できるので、ストアにとっては新しいお客さんが来ることになります。

同様にPaytmに関してもインドの人口は13億人(2025年には中国を超える見込み)となっており訪日旅行者へのマーケット拡大が見込まれます。

アリペイ・Paytmともにソフトバンク資本が入っているので、同様の戦略を取ろうと考えても国内QR決済会社は追従が難しいのではないでしょうか。

そもそもLineは9000億円ほどの価値なので買収策にあう可能性も比較的高いですが。

PayPay・Paytmのアクティブユーザー数推移

PayPayは2019年8月時点で1000万人を突破しました。10月からのデータは次の四半期決算にて発表されるとは思いますが、キャッシュレス還元による影響で増える可能性は高いと見ています。

Paytmは具体的なユーザー数は見つけ出せませんでしたが、インドのシェア3割強という情報と流通高400億ドルという規模というのはわかりました。概ね4億人くらいのユーザー数でしょうか。

 

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引用:https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1908/08/news112.html

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ソフトバンクグループ決算資料より

 

100億円の還元やポイントバックでどうやって儲ける?

PayPayは導入後3年間は手数料無料という戦略を取っています。中国の阿里巴巴がPayPalに対抗して取った無償化戦略やYahooBBでのモデムまき戦略と似ています。

おそらく3年後時点でのシェアをもとに手数料を取るか否かを決定し収益化よりマーケットシェアを取ることが予想されます。

PayPayや楽天Payに関して言えば、阿里巴巴と同様にBtoCだけでなくBtoB、BtoC、CtoCの事業も展開しています。これは決済事業者としてどこで収益を取るかを分散化することができます。

入手できるビックデータについても重要です。どこでだれが何を買ったか、顧客情報を収集・分析することでできます。

Paytmでは発生する個人クレヒス情報の入手し、リコメンドする広告事業を展開しています。顧客は顧客クレヒス情報を確認でき、後払いサービスなどが利用可能になっています。一般的に銀行がおこなっている少額融資を行うことが可能となります。

個人レベルでの与信情報は信用機関(ローン融資期間)としてビジネスの幅を広げることができ、BtoCとして顧客に金利を付け融資をする、BtoBとして仲介し手数料を得る。など同様にPayPayでも上記が行われる可能性は高く金融事業としても展開されることは予想できます。

時系列で消費者動向を取得することは、教育資金についても革命を起こすと考えられます。例えば現在の奨学金は返済情報のみでしか顧客管理ができていません。

卒業後の決済情報を取得することで、今後行う奨学金に関しても現状のような成果がわからないものでは無く、奨学金を与えた大学→実際の年収、行動パターンなどが分析できるようになります。

PayPayがどれだけ戦略的に事業戦略を練っているか、今後が楽しみではありますが概ねの人が考えているよりも普及はすると考えます。中国・インド・日本間での連携が重要とは考えますが、国際送金や、国際口座間のブリッジにXRPなどの仮想通貨が使われたら各国での口座保有の必要がなくなり面白くなるのではないでしょうか。

 

筆者はPayPayを応援しております。

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