ふぐは、縄文時代の貝塚から骨が発掘されるなど思っているより古くから日本人に愛されている魚です。
毒を持っている割に困ったことにおいしい。
おそらく数多くの先駆者の屍を乗り越えておいしく楽しめるのでしょう。
今日はそんな河豚(ふぐ)についてお話します。
ふぐの産地・歴史を調べてみた
安土桃山時代に武士層の中毒事故が多発したことから、各地でふぐの禁止令が出されることとなりました。
ただ潜職の禁を犯した者がいた場合には家禄没収などの厳しい処分が下されるなど本格的な禁止令が発令されます。
特に長州藩では厳しく取り立てられました。
しかしながら、民間の間ではふぐが禁止されたわけではなく、隠れて楽しむこともできました。
明治時代に入り、伊藤博文が山口県の下関に訪問していた際にフグを食して「下関のフグに毒は無し」といしてフグ食の解禁を宣言したことがきっかけで、山口をはじめとしてふぐ食が解禁されていきます。
実際のところ下関はフグの産地というよりは集積地です。
筆者は下関の市場にふぐを食べに行ったことがありますが、鮮度もあまり良くなく「あれ?」となったことがあります。
下関近海でもフグは獲れるのですが、それ以上の数のフグが天然物、養殖物ともに日本全国や中国や韓国などの海外からも下関に集められるため、産地直送のふぐと比べると美味しさは劣っていたのかもしれません。
※下関でも値段が高いものはおいしいのかもしれません。
ふぐの毒とはどんな毒か
ふぐといえばやはり毒持ちとして有名です。
テトロドトキシンという神経毒を持ちます。
中毒症状により呼吸ができなくなりますが、自発呼吸が戻るまで、呼吸器をつければ助かることができ、素人の調理以外では年間の死亡者はほとんどありません。
摂食後の20分程度から数時間で症状が現れる。意識が明瞭なまま麻痺は急速に進行し24時間以内に死亡する場合が多い。
第1段階
指先や口唇部および舌端に軽い痺れ。目眩により歩行困難。頭痛や腹痛の場合も有り。
第2段階
運動麻痺が進行、嘔吐、知覚麻痺、言語障害、呼吸困難、血圧降下。
第3段階
全身の麻痺症状、骨格筋の弛緩、呼吸困難及び血圧降下が進行。
第4段階
意識の消失、呼吸停止。死亡。(但し、呼吸停止後も暫くは心臓の拍動が続くことがある)引用:Wikipedia
季節により毒化する部位がかわります。
養殖のふぐでは無毒化もできるが、無毒化したふぐの中に毒を持つふぐを投入すると無毒化したふぐも毒化するという不思議な性質を持ちます。
ふぐの白子はトラフグのみ無毒であり、あまり食べる機会はありませんが非常に美味です。
食用ふぐ21種類のうちヒガンフグ、クサフグ、コモンフグ、サンサイフグなどの白子は毒があるため食べることができません。
ふぐの卵巣には毒があり、通常食べることはできません。
石川県白山市の美川地域、金沢市の金石、大野地区では、その卵巣を2年以上にもわたって塩漬けおよび糠漬けにする事で、毒素を消失させ珍味として販売しています。
どういうメカニズムなのか、だれが実験したのか謎が多い調理法ですが、食べる手段がいことはないです。
ふぐの別名
ふぐには様々な別称があります。
これは毒を持っている魚であることに由来しており、禁止令があったことから隠語として普及したとみられるものが多いです。
ふく
下関や北九州などでは「ふく」と呼ばれる[。縁起をかついで「不遇」あるいは「不具」につながる「ふぐ」ではなく、「福」につながる「ふく」と呼ぶ。
てっぽう
大阪では「たまに(偶に)当たる」を「弾に当たる」「当たると死ぬ」に掛けた洒落から「てっぽう(鉄砲)」と呼ぶ。「てっさ(てっぽうのさしみ)」「てっちり(てっぽうのちり鍋)」という料理名はここから来ている。フグ食禁止令のために「テツ」の暗号が用いられたともいわれる。
がんば
長崎県島原地方でフグを指す方言「がんば」は、「がんば置いてでん食わんば(棺桶を置いてでも食わねば)」の略といわれている。
ナゴヤフグ(名古屋フグ)
瀬戸内海地方におけるナシフグ、コモンフグ、ヒガンフグ等の別称。「当たれば身の終わり(美濃・尾張)になる」→「尾張といえば名古屋」の連想から「ナゴヤフグ」となったとされる[。
引用:Wikipedia